特許戦略×新規事業・プロダクト

特許戦略・戦術の意義の例

特許戦略・戦術を策定・実行することで、事業や研究開発(特に新規事業や新規開発)の様々な場面に役立ちます。

  • 特定の事業・技術領域において特許による優位性・参入障壁を構築する
  • 特許出願の狙いどころを定める
  • 他社動向、市場動向を把握する
  • アライアンス、M&A等の事業上の目的の達成を後押しする
  • 知財担当者と研究開発者・起業家等との間で情報共有を行う
  • 複雑な情報を見える化する、整理する
  • 様々な知見を得る、新規アイデアを創出する、思考を整理する etc.

特許戦略・戦術のプロセスの全体

特許戦略・戦術を策定・実行する流れは、例えば以下のようになります。

  1. 狙う事業・技術領域の検討
  2. 特許調査及び一般情報調査
  3. 情報の可視化(リスト化、ツリー化、マップ化)
  4. 他社動向の把握、特許侵害の回避、出願の狙いどころの検討
  5. アイデア出し、出願案の擦り合わせ、特許の活用方法の検討
  6. 特許出願
  7. 状況に応じた権利化、国内優先権主張、外国出願等

狙う事業・技術領域の検討

まずは大枠として、狙う事業・技術領域を定めることにより、調査すべき情報の適切な範囲を明確にします。範囲が広過ぎても狭過ぎてもいけません。

ex.人々が抱える課題・悩み、技術的課題、市場性、願望、保有アセット等を基に検討する

特許調査及び一般情報調査

実際に調査を進めていく上で、特許公報(公開特許公報を含む)と一般情報の両方を調査することで、漏れのない形で情報を取得することができます。

一般情報調査

ex.インターネット上の情報や商品・サービス等を調べる、展示会やピッチ等のイベントに参加する

特許調査

ex.特定した事業・技術領域に合わせて検索式を設計し、特許公報(公開特許公報)の調査を行う

情報の可視化(リスト化)

調査すべき特許公報をリストの形で抽出します。

抽出した特許公報を読み込み、自社の狙う事業や技術の内容との関連性のスコアを各特許公報に付けることで、着目すべき特許公報を選定します。

更に、着目すべき特許公報は、発明の概要やポイントを分かりやすく言葉でまとめておくとなお良いです。

情報の可視化(ツリー化)

特許公報を読み込んだ後に、必要に応じて着目すべき特許公報に関する課題と解決手段をツリー状に展開し、整理します。
(課題と解決手段以外の軸による展開方法もあります)

ex. 課題-解決手段によるツリー展開

情報の可視化(マップ化)

必要に応じて、特許リストにおいて選定した着目すべき特許公報の情報をマップにします。
これにより、どの企業がいつどのような特許を出願・取得しているかを可視化できます。
ブルーオーシャンな領域やレッドオーシャンの領域も把握が可能です。

なお、ここでは課題と解決手段の2軸としています(軸の項目はこれらに限られません)。
課題は技術的な課題でもユーザにとっての課題でも構いません。

他社動向の把握、特許侵害の回避、特許出願の狙いどころの検討

上記のリスト、ツリー、マップのいずれか(あるいは全部)の情報と、更には一般的情報も加味して分析することで、
他社の動向の把握、特許侵害の回避、特許出願の狙いどころの検討などが可能です。

他社動向の把握

ex.特許リスト、特許マップ、各特許公報、一般情報等を分析することにより行う

特許侵害の回避

ex.特許リストの各特許公報をチェックする(あるいは別途クリアランス調査を行う)

特許出願の狙いどころの検討

ex.特許リスト、ツリー、特許マップ、一般情報、自社状況等を踏まえて検討する

アイデア出し、出願案の擦り合わせ、特許の活用方法の検討

続いては、アイデアを固めていき特許出願の内容を具体的にしていきます。その際に調査した情報から参考になるアイデアの抽出を行い、それを更に1歩2歩ブラッシュアップすることが有効です。更に、出願前から特許のビジネスでの活用方法を検討します。

アイデア出し

ex.複数人でブレストを行い多様な視点でアイデアを抽出する

出願案の擦り合わせ

ex.請求項の構成や明細書への記載事項等を具体的に決め、出願ドラフトを作成する

特許の活用方法の検討

ex.特許を資金調達、アライアンス、マーケティング等に活用することを検討する

特許出願

特許出願書類を作成し、内容を細かく確認し、不備がないようにします。
更に、審査後の補正や分割出願も想定した記載にします。

※補正とは、特許出願書類の記載(特に特許を取得しようとする内容)を変更する手続きです。
※分割出願とは、特許出願の内容の一部を抽出して新たな特許出願をできるという形式の出願です。

ex.記載の抜け漏れ、誤字・脱字等の不備がないかを十分にチェックした上で出願を行う
(できれば3名以上でチェックを行う)

状況に応じた権利化、国内優先権主張、外国出願等

特許出願を行った後に、事業や開発などの状況に応じてその後の進め方を柔軟に調整していくことが重要です。

権利化

ex.事業や開発の状況に合わせて適切なタイミングや内容で審査請求や拒絶理由通知への対応を行う

国内優先権主張

ex.出願後1年以内に関連アイデアを思い付いた場合は国内優先権主張を行い、その内容を特許明細書に追加する

外国出願

ex.事業展開する予定の国に合わせて、PCTルートかパリルートで外国に出願する。特許性を早期に確かめたい場合はPCTにおける国際調査を活用することを検討する

過去の事例

ここでは、弊社代表の草野が本プロセスにより優れた結果を出した一部の事例を簡単にご紹介します。
特にスタートアップにおいては、事業全体の方向性を主導することができ、優れた特許やプロダクトが生まれました。

大企業知財部時代

研究開発者全員が専門外の分野において、事業・技術上の狙いを決めた上でそれを実現するために上記のプロセスを主導して特許を出願した(最終的には国内外で特許を取得)。
社内の賞を受賞。

起業後

スタートアップからの依頼に対して上記プロセスを主導し、特許侵害の回避、他社動向の把握、新規アイデアの創出、強力な特許の取得を実現した。
サービスも無事ローンチされた。

知財専門家に求められるスキル

本プロセスを実行するには幅広い様々なスキルが必要になります。
単に特許のことが分かっているだけでは十分に実践することができません。

  • コミュニケーション能力(研究開発者、起業家等とのコミュニケーションが極めて重要)
  • 特許調査のスキル(検索式の設計等)
  • 特許公報の読み込み力
  • 型を作る力(フレームワークの設計力)
  • アイデア創出力
  • ビジネスや技術に関する知見・感覚


上記のプロセスの一部又は全部の実行をご希望の場合はお問い合わせ下さい。

PAGE TOP